前回の記事では、子どものお腹がストレスや緊張の影響を受けやすい理由についてお話ししました。
「自律神経と関係があるのはわかったけれど、だからってどうしてお腹が痛くなるの?」
と、疑問を持たれた方もいるかもしれません。
今回は、つくば市で小児はりを行う鍼灸師ママの視点から、子どものお腹と自律神経の関係についてお話しします。
自律神経は体の調整係
自律神経は、私たちが意識しなくても働いている神経です。
呼吸や体温、心拍、睡眠、そして胃腸の働きなどを調整しています。
自律神経には、
- 活動モードの「交感神経」
- 休息モードの「副交感神経」
の2つがあります。
どちらも大切ですが、このバランスが崩れると体にさまざまな変化が現れます。

緊張すると胃腸は働きにくくなる
例えば、大事な発表の前や初めての場所へ行く時、心臓がドキドキしたり、手に汗をかいたりした経験はありませんか?これは交感神経が優位になった状態です。
実はこの時、胃腸の働きも変化しています。
交感神経は胃腸の働きを抑える方向に体を動かします。
食べ物を消化したり腸を動かしたりする働きは、どちらかというとリラックスしている時に活発になります。
そのため緊張が続くと、
- お腹が痛くなる
- 気持ち悪くなる
- 食欲が落ちる
- 下痢や便秘になる
といった症状が現れることがあります。
胃腸と自律神経の関係については、こちらの記事も一般向けにわかりやすく解説されています。
⏩胃腸不調の人が増えている!?
東洋医学では、子どもは「 稚陰稚陽」の時期にあると考えます。
これは、子どもが成長の途中で心身のバランスがまだ安定していない状態にあることを表す言葉。
そのため大人に比べて環境の変化や疲れの影響を受けやすく、さまざまな症状として現れることがあると考えられてきたんです。
子どものお腹は「反応」が出やすい場所
子どものお腹は、大人が思っている以上に敏感です。
例えば、
- 遠足の前日に眠れなくなる
- 発表会の前にお腹が痛くなる
- 初めての場所へ行くと食欲がなくなる
こうした経験は、多くの子どもに見られます。
これは弱いからでも、甘えているからでもありません。
胃や腸は自律神経の影響を受けやすいので、緊張や不安、疲れなどに反応しやすいのです。
そのため、学校生活や習い事、友達関係などの負担が続いている時に、お腹の症状として現れることがあります。
もちろん、すべての腹痛が自律神経によるものではなく、痛みが強い、長引くなどの場合、まずは医療機関で必要な診察を受けることが大切です。
そのうえで、検査で異常が見つからない場合には、「体が出しているサイン」という視点から見直してみることも大切かもしれません。
小児はりでみていること
小児はりでは、お腹の症状だけを追いかけるわけではありません。
睡眠はどうか?
疲れはたまっていないか?
食欲はあるか?
最近環境の変化はなかったか?
など、いろいろな視点から体全体をみていきます。
鍼灸や漢方には「 望診」、「 腹診」などさまざまな診かたがあり、古くから外見の一部やその変化、お腹の状態などを体全体の手がかりとして考えてきました。
健康観察、体表観察の進化形といえるかもしれませんね。
実際に、こういった東洋医学の診かたは、その子の緊張や疲れの状態を、言葉より雄弁に教えてくれることがあります。
お腹の痛みだけを見るのではなく、 その背景にある体の状態にも目を向けることが大切だと考えています。
最後に
お腹は、自律神経の影響を受けやすい場所のひとつ。
検査では異常がなくても不調を感じることがあります。
「気のせい」「考えすぎ」で片付けるのではなく、体からのサインとして受け止めてみることも大切かもしれません。
お子さんのお腹の不調が続いている場合は、お気軽にご相談くださいね。

